船の速さをノットではかるのはなぜ?
船の速さをノットではかるのはなぜ?
船や飛行機は、いまでも速さをノットではかります。古めかしい奇妙な単位に思えますが、船乗りにとってはこのうえなく理にかなった単位だったのです。
予想してみましょう。10ノットはどれくらいの速さでしょう?
緯線と経線
地球上の場所は、二つの数で決まります。緯度は、赤道から北または南へどれだけ離れているかを表す数。経度は、本初子午線から東または西へどれだけ離れているかを表す数です。
いちばん長い緯線は?
緯線は地球をぐるりと回る円です。極に近づくほど短くなり、極では一点に縮みます。いちばん長いのは、両極のちょうど真ん中にある赤道。長さは約4万kmです。
本初子午線はどこを通る?
赤道は地球そのものが決めています。でも本初子午線は、どこを通ってもよかったのです。1884年、各国の話し合いで、イギリスのグリニッジを通る経線に決まりました。フランスはこれに同意せず、1911年までパリを基準に経度を数えていました。
緯度は度ではかる
緯度は角度です。地球の中心から見て、その場所が赤道からどれだけ離れているかを表します。地球は丸いので、度ではかるのです。赤道は0度、極は90度です。
緯線の間隔はどこでも同じ
緯線どうしが近づくことはありません。緯度が1度違う隣りあった緯線の間隔は、地球のどこでも約111km。赤道の近くでも極の近くでも変わりません。
では1分は?
1度は60分に分けられます。111kmを60等分すると、1分は約1.85km。緯度が1分違う二本の緯線は、それだけ離れています。下の地図は、チェコの首都プラハの中心部です。
海里
緯度が1分違う二本の緯線のあいだの距離には、専用の名前があります。それが海里です。現在は正確に1,852mと決められています。
では、ノットとは?
ノットは速さの単位で、1時間に1海里進む速さです。1ノットで進む船は、1時間に1,852m進みます。真北へ進めば、1時間ごとに緯度が1分ずつ変わります。
なぜいまもノットを使う?
ノットはメートル法の単位でも、ヤード・ポンド法の単位でもありません。それでも船や飛行機が使うのは、海図で計算しやすいからです。海図のふちには緯度の目盛りがあり、それがそのまま海里のものさしになります。
海里はふつうのマイルではない
アメリカの道路などで使うふつうのマイルは1,609m。古代ローマのマイル、つまり左右2歩を1つと数えて1,000歩分の長さが起源です。海里はそれより長い1,852m。英語ではどちらも「マイル」と呼ばれますが、共通点は名前だけ。海里は地球の形から生まれた単位です。
ロープの結び目
昔の船では、結び目をつけたロープに板をつなぎ、海に投げこみました。船は進み続け、船乗りは小さな砂時計の砂が落ちきるまでに、結び目がいくつ繰り出されたかを数えました。英語で結び目は「ノット」。繰り出された結び目の数が、そのまま船の速さのノットでした。