夜が暗いのはなぜ?
夜が暗いのはなぜ?
「太陽が沈んだから」という答えは明快に思えます。ところが19世紀の初め、ドイツの天文学者ハインリヒ・オルバースは、この答えにひそむ問題に気づきました。宇宙が無限に広く、永遠の昔からあり、星がどこにでも散らばっているなら、夜空は星で埋めつくされるはずなのです。
どこを見ても星にぶつかる
果てしない森を思い浮かべてください。どの方向を見ても、視線は最後にはどれかの木の幹にぶつかります。無限の宇宙でも同じで、夜空のどこを見ても、視線はいつか必ずどれかの星にぶつかるはずです。
空にすき間はある?
1995年、ハッブル宇宙望遠鏡は、星が一つもないように見える場所を10日間見つめました。サッカー場の反対側の端に置いたテニスボールほどにしか見えない、小さな領域です。そこには約3,000個の銀河が見つかりました。それでも、銀河と銀河のあいだは暗いままです。
遠い星は暗いのでは?
遠い星は暗く見えますが、空での見かけの大きさも小さくなります。太陽を3倍遠ざけると、幅は3分の1、面積は9分の1になり、届く光も9分の1になります。つまり、表面のどの部分も、同じ明るさのまま輝いているのです。
空は太陽のように輝くはず
すべてを合わせると、奇妙な結論になります。どの視線も星の表面にぶつかり、どの表面も同じ明るさなら、夜空全体が太陽の表面と同じくらい明るいはずです。しかも昼も夜も、です。
宇宙は永遠ではない
謎の答えはこうです。宇宙は約138億年前に生まれ、光の速さは有限です。そのため光は、宇宙の誕生から今までに、ある距離までしか届いていません。
遠い星の光はまだ旅の途中
近い星の光は、とっくに地球に届いています。でも遠い星の光が届くには、宇宙の年齢より長い時間がかかります。その光はまだ旅の途中なので、そこは暗く見えるのです。
しかも宇宙は膨張している
1929年、エドウィン・ハッブルは宇宙が膨張していることを発見しました。光の速さは変わりませんが、進むあいだに前方の道のりがのびていくので、光はより長い距離を進まなければなりません。だから遠い星の光は、届くまでにさらに時間がかかります。
光は途中で赤くなる
光は波です。宇宙が膨張して空間がのびると、その中を進む光の波ものびます。波長が長くなった光は、より赤く、暗く見えます。こうして、とても遠い星の光は届いても、もう目には見えないのです。
では、夜が暗いのはなぜ?
宇宙には年齢があり、光の速さは有限だからです。いちばん遠い星の光は、まだ地球に届いていません。とても遠い星から届く光は、宇宙の膨張でのばされて、目には見えなくなります。星と星のあいだの暗やみは、宇宙に始まりがあったことを示すしるしなのです。