太陽が光るのはなぜ?
太陽は燃えていない
太陽は巨大なたき火のように見えますが、燃えてはいません。もし石炭でできていたら、数千年で燃えつきてしまいます。でも太陽は、もう50億年近くも光り続けています。
太陽は何でできているの?
太陽はおもに、いちばん単純な元素である水素でできています。水素の原子には、まん中にプラスの電気をもつ粒が1つだけあります。これが陽子です。そのまわりに、マイナスの電気をもつ電子が1つあります。
重力が太陽を押しつぶす
太陽の重さは地球の30万倍です。太陽自身の重力があらゆるものを中心へ引っぱり、中のガスを押し縮めます。押し縮められたガスは熱くなります。自転車に空気を入れると空気入れが熱くなるのと同じです。
中心は地獄の熱さ
いちばん押し縮められ、いちばん熱いのは太陽の中心部、「中心核」です。その温度は1500万度をこえます。熱いものほど、その粒は速く動きます。中心核では粒があまりに激しく飛びまわるので、電子が陽子からはがれて、ばらばらに飛んでいます。
陽子どうしは反発する
同じ種類の電気は反発し合うので、陽子どうしは押しのけ合います。勢いよく向かっていくほど近くまで寄れますが、最後はいつも反発する力が勝ちます。太陽の中心核では陽子がとても速いので、ときには触れ合うこともあります。
自分で確かめてみましょう
風船を2つふくらませて、髪の毛にこすりつけ、糸でとなり合わせにつるしてみましょう。風船は離れていきます。どちらも同じ種類の電気、ここではマイナスの電気をもっているので、2つの陽子と同じように反発し合うのです。
数十億年に1度
でも、触れ合ったあとも、ほとんどいつもまた離れてしまいます。くっつくのは、ちょうどその瞬間に片方が陽電子を出して中性子に変わったときだけです。陽電子は電子のような小さな粒で、プラスの電気をもっています。陽子と中性子は反発しないので、2つの陽子と違ってくっついたままでいられます。でもこの変化はとても珍しく、陽子は平均して数十億年も待たなければなりません。
ぎゅうぎゅうづめ
でも、中心核には想像もつかないほどたくさんの陽子があり、重力がそれをぎゅうぎゅうに押しこめています。その物質は1リットルで150キロにもなります。だから、こんなに珍しい結合でも、何度も何度も繰り返し起こるのです。
4つの陽子からヘリウム
くっついたペアは、さらに2つの陽子が加わるまで、太陽の中心核を飛びまわります。そのうち1つがまた中性子に変わると、ヘリウムができます。遊園地の風船に入っているガスです。このように高温の中で粒がくっつくことを「核融合」といいます。できたヘリウムは中心核にたまり、今のところそれ以上はくっつきません。
ヘリウムの出番はあと
ヘリウムの原子核には陽子が2つあるので、ヘリウムどうしは陽子どうしよりもっと強く反発します。ヘリウムがくっつきはじめるのは、およそ50億年後に太陽の中心核の水素がなくなり、中心核が1億度まで熱くなってからです。そのとき3つのヘリウムから炭素ができます。たとえば鉛筆のしんは、この炭素でできています。
少しの質量が光になる
ヘリウムは、もとになった4つの陽子より少しだけ軽いのです。だから水素1キロごとに、およそ7グラムが光と熱に変わります。これは石炭2万トンを燃やしたのと同じくらいのエネルギーです。
太陽はやせていく
太陽はこうして、1秒ごとに6億トンの水素をヘリウムに変えています。そのうち約400万トンが光になります。でも太陽にとってはほんのひとかけらで、水素はあと50億年ほどもちます。
外へ出るまでの長い旅
中心核で生まれたエネルギーは、ゆっくりとしか表面にたどりつきません。こみ合った太陽の中で、光は何度も何度もはね返されながら進むので、外に出るまでに数万年、もしかすると10万年以上かかります。表面から地球までは、たった8分で届きます。
地球の上の太陽
私たちは地球でも核融合を起こして、電気をつくろうとしています。でも太陽のような重力はないので、ガスを太陽の中心核の10倍、1億5000万度まで熱します。こんなに熱いガスは、どんな壁でも耐えられません。そこで、タイヤのような形をした「トカマク」という装置の中で、強力な磁石でガスを浮かせておくのです。
では、太陽が光るのはなぜ?
太陽は燃えているわけではありません。重力が中心核を押し縮めて熱くし、そこで核融合が起きています。水素の陽子が少しずつくっついてヘリウムになるのです。そのとき少しの質量が光に変わります。水素はとてもたくさんあるので、何十億年ももちます。