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南半球では水の渦が逆向きになる?

南では渦が逆向き?

オーストラリアでは、洗面台の水がヨーロッパや日本とは逆向きの渦を巻いて流れる、とよく言われます。地球の自転のせいだというのです。本当でしょうか?

赤道がいちばん速い

地球は1日に1回自転するので、赤道上の場所は1日で地球を1周します。つまり時速およそ1,670kmで東へ進んでいるのです。中央ヨーロッパは極に近く、回る円が小さいので、時速およそ1,100kmにすぎません。極では、地面がその場で回るだけです。

極へ向かうものは曲がる

赤道から北へ大砲を撃つと、弾は東へ向かう速い動きを持ったまま飛びます。ところが極に近づくほど、その下の地面の動きは遅くなるので、弾は地面より先へ進み、飛ぶ方向から見て右へ曲がります。北半球では、ほかの方向への動きも右へ曲がり、南半球ではすべて左へ曲がります。

台風は本当に逆向き

台風の中心は気圧が低いので、何百kmも離れたところから空気が吸い寄せられます。南からも北からも流れこむ空気が途中で右へ曲がるため、渦全体は反時計回りになります。南半球ではその逆で、渦は時計回りに回ります。

洗面台では小さすぎる

ただし、この曲げる力はとても弱いので、動きに十分な時間があり、ほかに水を強く動かすものがないときにしか現れません。洗面台の水は数秒で流れきってしまいます。それよりずっと強く水を回すのは、洗面台の形や、水をためたときに残った流れです。

とても辛抱強くやれば

1962年、ボストン近くのMITでアッシャー・シャピロは、幅2m近い丸いタンクに水をため、1日そのまま静かに置きました。水は地球といっしょにほんのわずかに回っています。そのあと20分かけてゆっくり水を抜くと、排水口付近の回転が強まりました。フィギュアスケートの選手が腕を縮めると速く回るのと同じです。渦は毎回反時計回りになり、3年後にシドニーで行われた同じ実験では逆向きの渦になりました。

赤道での手品

ケニアやエクアドルでは、赤道の数歩北では水が一方向に、数歩南では反対向きに回る、という洗面器を観光客に見せています。これは手品です。ガイドが水の注ぎ方や洗面器の回し方で、好きな向きに回しているのです。しかも赤道の真上では、曲げる力はゼロです。

自分で確かめてみましょう

洗面台に水をため、しばらく水を落ち着かせてから、指で軽く一方向にかき回してみましょう。栓を抜くと、渦はかき回した向きに回ります。逆向きでも試してみましょう。半球よりも指のほうが大事だとわかります。

つまり、逆向きになるの?

地球の自転は、その上を動くものすべての向きを曲げますが、その力はわずかです。台風は巨大で何日も回り続けるので、北半球と南半球で回る向きが違います。洗面台の渦の向きは洗面台の形と水のため方で決まり、地球の自転の影響が見えるのは、1日静かに置いた大きなタンクだけです。