宇宙で駐車できる場所は?
宇宙で駐車できる場所は?
太陽で起きる嵐は、人工衛星やGPS、電力網を止めてしまうことがあります。それを前もって地球に知らせるため、探査機がいつも太陽と地球のあいだにいて太陽を見張っています。でも宇宙では止まることができません。止まっているものは太陽へ落ちてしまいます。では、どうやってそこにいられるのでしょう?
引力のつりあいだけではだめ
太陽と地球のあいだには、両方の引力がつりあう場所があります。地球から約26万kmのところです。でも探査機はそこにとどまれません。何も向きを曲げないので探査機はまっすぐ進んでしまい、一方で地球は太陽に曲げられて軌道を回るからです。その場にはいられません。
近いほど速く回る
水星は88日、地球は1年、火星は2年弱で太陽を1周します。太陽に近いほど太陽が強く引くので、落ちないためにはより速く進まなければならず、軌道も短くなります。
もし太陽だけが引いていたら
地球から見て止まっているためには、探査機は地球と同じく1年で太陽を1周しなければなりません。でももし太陽だけに引かれていたら、少し太陽に近い探査機は速く回って地球を追い越してしまいます。少し遠い探査機は遅れていきます。
L1:地球がブレーキをかける
でも地球も探査機を太陽と反対向きに引くので、太陽の引力が弱まり、ゆっくり回ります。26万kmでは地球が引力を完全に打ち消し、強すぎます。約150万kmならちょうどよく、1年で太陽を1周します。ここがL1、5つあるラグランジュ点の1つ目で、数学者の名にちなみます。
L2:地球が後押しする
地球の向こう側では逆です。地球は探査機を太陽と同じ向きに引くので、探査機は太陽だけに引かれる場合より速く回ります。やはり地球から約150万kmのところで、ちょうど1年で太陽を1周します。これがL2です。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
L2を回っているのが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です。そこからは太陽も地球も月もいつも同じ側にあるので、テニスコートほどの日よけ1枚でまとめて隠せます。その陰で望遠鏡は−220°C以下に冷え、だからこそ遠い銀河からのかすかな熱をとらえられるのです。
5つの点
こうした場所は5つあります。L3は太陽をはさんで地球の反対側、L4とL5は地球の軌道上で、地球の60度前と60度後ろです。なぜそこなのかは直感的には説明できませんが、計算すると、そこでも探査機はちょうど1年で太陽を1周します。
山の頂上か、谷か
L1、L2、L3は山の頂上のようなものです。L2の探査機が地球から少し離れると、地球の引く力が弱まり、さらに離れていきます。そのためウェッブは数週間ごとに短時間エンジンを噴射します。L4とL5は谷のようなもので、そこにはまりこんだものはそのまま残ります。
木星のそばの小惑星
どの惑星にも同じ点があります。谷に入ったものが逃げないことは、木星を見るとわかります。木星のL4とL5には1万個以上の小惑星が集まり、何十億年も木星といっしょに太陽のまわりを回っているのです。
つまり、どこに駐車できる?
ラグランジュ点です。そこでは探査機がちょうど1年で太陽を1周し、地球から見て動きません。だから、はじめに登場した探査機はL1から太陽を見張り、ウェッブはL2で太陽から隠れています。L1〜L3ではときどきエンジンを噴射する必要がありますが、L4とL5では何もしなくてもとどまれます。